新しいことなんかしない有機農場

冬は情報を仕入れる時期でもあります。

今年はスカイプというオンライン会議ツールを活用して様々な勉強会を企画しまくったので、
例年よりも得るものが多かったです。

その中で毎年学ばさせて頂いてるのが私のHPでも紹介している科学的な有機農業手法を全国で教えている小祝政明氏の勉強会です。
有機野菜のあさひや農場 » あさひや農場の基本を織り成す四大リンク
今年も小祝氏は日本中飛び回って講演していてなかなか捕まらないので、スカイプで2回勉強会を企画しました。
5日に2回目の勉強会があり、現在参加農家はその勉強会に提出すべき栽培管理カードを記入してる真っ最中です。
自分の野菜の栽培管理カードをどれだけ細かく書けるかが重要です。
それは自分が野菜に対して行なっている行為一つ一つを
どれだけ自分が理解しているかを確認する行為でもあるからです。

例えば皆さんが野菜だったとしましょう。
私は皆さんの住む場所を決めます。住む時期もです。
お隣の住人までの距離、食料や水をいつ配給するかも決めます。

一枚の葉っぱでも盛り上がり方、葉の角度が何を意味するかを聴く必要があります。



私が皆さんのことを理解してなければ、皆さんは寒い思いや、ひもじい思いをしますし、
太りすぎて病気になったり、虫たちがあなたにまとわりついて体中に噛み付いてきたりするのです。
私が勝手に「彼らはカレーが大好きだ」と思い込んで毎日毎日3ヶ月くらいカレーを食べさせられたり(しかも水の代わりにマックシェイクが1週間位一回与えられるだけどとか)

そおういうことがないように私たちは植物を理解しようとしています。
小祝さんの勉強会はそういう勉強会です。
いわいる~~農法とか名のつくようなことを勉強しているわけではありません。
植物の葉っぱは何をしてるか?
根は何をしてるか?
私たちのあげる肥料はどう吸収されるのか?
太古の昔から植物の基本的な生理は変わらず、人はそれに従うしかありません。
その生命のルールを学んでいるのです。

小祝氏は氏が毎年新しい手法や技術を紹介していくことに対してこう述べています。

”私は何も新しいことなんかしていません。
ただ常に植物の真理に近づこうとしているだけです。”

あさひや農場でも新しいことはしません。新しい理解をします。
あさひや農場で「奇跡」が起きるとしたら、それは私が「無知」だったということに他ありません。

焼き餃子の焼き方と有機農業

 

最近あさひや農場では焼き餃子が流行です。

便利な世の中で、フライパンも安価にマーブルコーティングのものとか手に入るので、餃子が焼きついてぼろぼろとかになりませんし、レシピとかもインターネットで検索すれば簡単に手に入るので餃子だけでなく色々な料理に挑戦できます。餃子は素材を刻むのが大変ですが、そのあとは子供でも出来るので、子供達にも作り方を教えました。具はあさひや農場のあまり野菜みじん切り。その時あるもので適当に。全部刻んでひき肉などと混ぜて、あとは詰めるだけ。ここまではもうこだわり無く適当に教えました。

毎回同じ具,、同じ分量なんて、季節を彩る野菜が並ぶあさひや農場ではありえないからです。

しかし、ここから焼くのはもう決まったパターンを教えました。焼くのを失敗すると中が生だったり、焦げ付いたりと餃子の場合取り返しがつかないし、基本的には具の種類で焼き方がそれほど変わるわけではないからです。ですからここから先はいつでも同じように焼くようにしっかりと教えます。

羽根つき焼き餃子の焼き方

  1. フライパンに油を引いて餃子を並べる。
  2. 餃子の裏側に焦げ目がつくまで中火で焼く。
  3. 適当に小麦粉を溶いたお湯を餃子の底が5mmくらい隠れるまで入れ、蓋を閉めて4分蒸し焼き。
  4. 蓋を開けて水分が完全に飛ぶまで焼き続ける。
  5. 火を止めてフライパン大のお皿を被せる。
  6. ひっくり返せば見事な羽付焼き餃子の出来上がり。

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これでとりあえず子供でも間違えることなく餃子を焼けるようになりました。

何でもちゃんと理解して物事を進めるにははっきりとした指標があるとわかりやすいですよね。餃子を焼くときも「焦げ目がつくまで」とか「5mm」とか「4分」とか子供でもわかるようなポイントを踏んでいくとわかりやすいです。こういう基準があれば、少し大きめの餃子なら「5分」とか数値を少しいじればいいだけです。こういう指標を意識しないと上手く行くときは上手く行くけど、上手く行かないときは大失敗したりします。そしてまた適当にやっていると上手くいった時・上手く行かなかったときの原因がわかりません。適当にやると成功や失敗が次の時の経験として役に立たないんです。これが「4分」という指標があれば仮に失敗しても「次は5分にしてみよう」とか「蒸し焼き時間は問題ないから水の量を変えよう」とか成長が出来るわけです。

有機農業も同じです。

色々指標を決めて仕事を進めます。それは「何月何日に種を蒔く」「何キログラム肥料を撒く」という数値的なものもあるし、「キュウリのつるの角度が何度」とか「トマトの何枚目の葉っぱ」とか観察するポイントであったりします。むかしはこういうものも結構適当でした。「肥料は鶏糞だいたい3袋」とか「沢山あげる」とかあまり根拠なしにイメージであげていましたし。

植物を見るときもなんとなく全体的に「いきいきしている」とか「元気が無い」とか大雑把でした。「有機肥料だから元気に育つ」と根拠も無く肥料をやり「有機農業だから仕方ない」と諦めていた時代があったのです。

しかし、それで済む時代は終わりました。しっかり指標をもって毎年成長していきたいと思います。

秋の土壌分析

畑の状態を見るにはいろいろな方法があります。畑の作物の状態を観察するのが第一です。作物の出来具合、葉の色や実の形、葉の巻き具合、葉のつく角度、花の向き、ひとつの作物のたくさんのチェックポイントを見ることで畑の状態を見極めるのです。これはお医者さんの触診に該当します。脈や眼の充血具合、聴診による心音や呼吸音をみることで、患者にどんな異常があるのかを観察するのです。畑に関するほとんどの情報はこの観察で得ることが出来ます。IMGP2329_R

次に、栽培履歴のチェックです。過去にどんな肥料を入れたか、これまでどんな栽培をしてきたか、天気や水遣りに問題はなかったかを見ます。これはお医者さんの問診やカルテのチェックに当たります。普段どんな食事を取っているのか、睡眠は取れているか?海外旅行に行ったか、過去に同じような病気になってないか、過去のデータから現在の状態を推測します。

そしてお医者さんでは血液検査やレントゲン、心電図など眼では見えないものを分析することでさらに多くのことがわかります。これに当たるのが土壌分析です。畑の土からさまざまな試薬でその土が含む養分を直接読み取ります。この土壌分析、試験管に入った抽出液を窒素やリンなど10養分ごとの試薬に反応させその色の変化を読み取るため以前は晴天の昼間じゃないと正確な読み取りが出来ませんでした。晴天の日の昼間は農作業したいのでなかなか時間が取れませんでした。しかし、いまはセンサーで正確に読み取ってパソコンに記録してる機械があり、これだと夜に自宅でも出来るので便利になりました。

畑での観察を基本として、栽培履歴のチェック、土壌分析はそれぞれがそれぞれのデータを補ってより正確に畑の情報をつかむことが出来ます。

土壌分析は簡単になったとはいえ、それでも時間がかかるので例年は春の畑作り前に行うだけでしたが、今年は秋も行っています。今年の異常気象でどれだけ畑に肥料が残っているのか、いまいち目視とデータだけでは分からなかったからです。畑がどうなってるのか分からないままむやみに肥料を撒けば農作物の健全な生育が望めないだけでなく、過剰な肥料が流亡すれば有機肥料といえど環境に負荷を掛けますし、あさひや農場のお財布にも負荷を掛けてしまうのです。

今回は秋から栽培が開始される小麦と玉ねぎ、ニンニクと冬の葉物を土壌分析に基づいて肥料設計をしてみました。あとは基本的に天気に任せることになります。

虫食いと肥料

今年はキャベツが余りよく出来ませんでした。全体的に虫が多く、夏は旱魃で肥料が利かず小さいものが多かったです。秋になりようやくいいキャベツが出始めました。9月は雨が多く肥料が効いたのでしょう。まだ全体的には小ぶりですがみずみずしく仕上がってきてimageいます。

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それでも綺麗に出来ているキャベツだけでなく虫食いがあるキャベツもあります。虫はかなりの部分を肥料設計で抑えられます。人間で言えば肥満にも栄養失調にもならないちょうどバランスの取れた健全な体を作る肥料を与えてあげることが必要です。人間で言えばご飯だけでなく、野菜も肉も海草や乳製品などをバランスよく摂取することで健康を維持できるのと同じです。

人間は疲れたときに甘いものや塩分を自分でも取りますし、理性もあるので偏食もしません。必要なときに必要な栄養を取らなかったり偏食をすると体を壊したりします。

植物は基本的に種が落ちたところの肥料を吸うことでいきますので、植物が生える場所の肥料分を人間が考えてあげねばなりません。本当は森を見ればわかるように、植物は自分たちで土を作り、その土地で生まれ死に、そして次世代の養分となって人間が肥料などを与えなくても生命が受け継がれていきますが、畑では野菜たちはその場で生涯を閉じません。次世代に受け継がれるはずの栄養分は皆様のところへ行ってしまいます。ですから畑では私たち農家が足りない分を補ってあげるのです。

しかし、ちゃんと肥料を計算してあれば十分なわけではありません。肥料は計算できても、水や光は天候次第です。水と光は相反します片方は晴天、片方は雨天に属するものです。光がなければ光合成は出来ず、水がなければ肥料は吸えません。

そんなわけで、なかなか肥料設計をしてもどうしても天候次第になってしまうところがあります。写真のように同じ時期に植えたキャベツでも植えた直後に雨が続くのか晴れが続くのかで肥料の利き方も変わり片方は虫も出ず、片方は虫食いがひどいといった風になります。また同じときに植えたものでもやはり一定数の犠牲が必要なのか、綺麗にそろったキャベツの中にたまに出荷できないほど虫にぼこぼこにされたキャベツがあったりします。虫たちも生き延びなきゃならないのでキャベツの防御機能にわずかに隙でもがあるキャベツに幼虫の産卵を集中するのでしょう。なかなか自然もしぶといです。(向こうたぶん同じ事を言っているでしょうけど。。)