アルバイト希望者に慣行栽培白菜生産の全体の流れを掴んでおいてもらうための概要です。
この行程は地域や生産者、同じ生産者でも時期によって変わる場合があります。
あさひや農場での白菜生産の大まかな流れとして抑えておいてください。
それぞれの作業での詳細は就業時に説明します。
またHPでも各作業について投稿しましたらこのページに随時リンク貼っていきます。
なお、白菜の作業の流れはレタス栽培も大きく共通するところがあります。(ただしレタスは無農薬)
1.畑の準備
白菜を植えるための畑を準備します。
肥料散布
事前に土壌分析施肥設計をした数値をもとに肥料を撒きます。
トラクターに搭載した肥料散布機で畑ごとに数種類の肥料をブレンドして散布します。
スタッフの方には肥料の積み込みをお願いします。肥料は1袋15kg~20kgです。
今年からは均一に撒きやすい機械を導入したので慣れた方には肥料の散布をお願いするかもしれません。
耕運
肥料を混ぜ込むよう丁寧に畑を耕します。
写真の大きさの機械で耕します。
安全運転指導をした後、耕運作業をお願いすることもあります。
マルチ貼り
全面マルチャーという機械で畝を立て同時にマルチを貼ります。
スタッフの方にはマルチ貼り補助(機械の後ろを歩きながらマルチ貼りサポート)をお願いします。
マルチ貼りは1列づつ貼って行くのですが、畑の端で折り返す時にスタッフの方の手際の良さが試されます。
あさひや農場は農地が狭いのでこの作業の頻度が多く、この作業をスムーズにできるかで作業スピードと精度が変わります。
特に白菜でのマルチ貼りは同時に農薬で土壌消毒を行うことが多く、その際はスタッフの方もマスク着用になります。
夏など厳しい作業ですので無理のないようなるべく涼しいうちに終わらせたい仕事の一つです。
除草剤散布
マルチを張った後、除草剤を散布します。
農場の作業としては軽作業になります。
マスク・手袋着用でお願いします。
2.播種・育苗
白菜やレタスはハウス内で苗を育ててから畑に定植します。
播種
播種板を使って種を育苗用のプラグトレーに播種します。
播種作業は
- プラグトレーへの土詰め
- 土の詰まったトレーに播種用の穴あけ
- 播種
- 覆土
- 育苗ベッドへの配置
- 保湿資材の被覆
- 保湿資材の上からたっぷり灌水
- 保湿資材の上に麻布を乗せる(遮光保湿)
この状態で2~3日すると芽が出てきますので、発芽を確認したらすぐに麻袋を除きます。
時期や品目によって苗土や覆土の種類、プラグトレーの穴数が変わりますので注意してください。
育苗
発芽後、芽が出揃ったら保湿資材も除きます。
毎日1~2回灌水します。
農業には「水くれ10年」という言葉があるように灌水作業は慣れが必要です。
しかし10年も待てないので、
皆さんにお任せする時はある程度定量的に丁寧に灌水していただきます。
灌水ムラは土が乾き始めた時によくわかりますので、
そういった点を考慮して技術を習得してください。
温度管理も大切で春先は暖房を焚き、夏はハウスの横を全開にして気温を下げます。
育苗中に1~2回苗に農薬を使うことがあります。
主にBT剤といった有機栽培にも使える毒性の低い農薬です。
育苗期間は春は30日以上、夏の暑い時期は2週間くらいになります。
植え遅れのないよう、畑作りと並行して行っていきます。
3. 定植
畑に苗を定植します。
植え穴あけ
苗を定植するために、マルチに等間隔に穴を開けていきます。
穴を開ける間隔は時期や品目により違いますのでその都度指示します。
穴はガスバーナーで熱せられた穴あけ機でリズムよく人が空けていきます。
スタッフの皆さんにおまかせする仕事になります。
植え付け前苗処理
定植前日または当日に農薬や活着剤で苗を処理します。
植える直前には畑に持ち出す前に苗土を水につけてたっぷり水を含ませます。
定植
台車に苗を載せて3列づつ定植をしていきます。
確実に・丁寧に・それなりのスピードで植えていただきます。
股関節が柔らかいことが重要です。
膝をついての作業も楽ですが、膝を守るために用意してある膝サポーターを付けてください。
保温(春のみ)
春先は霜防止の為、シンテックスと呼ばれる保温資材を掛けます。2~3m置きに杭を打って固定していきます。
暖かくなると取り除き、畳むのは雨の日にハウス内で行う仕事として取っておきます。
4. 圃場管理
定植から収穫まで真夏だと45日、秋の一番遅い作付けだと80日以上白菜は生育に時間かかります。
周辺草刈り
生育期間中を含め、圃場の準備段階から1~2回ほど周辺の草を刈ります。
あさひや農場では草刈りはスタッフさんの本採用に必須の技能になります。
試用期間中に危険のないよう指導しますが、事前にyoutube等で勉強してきてください。
草拾い
除草剤を撒いても草は生えてきます。
定植した白菜がまだ小さいうちに畑に入ってマルチの穴や株元から生えている草を手で抜いていきます。
仕事なかでは負担の軽い作業になります。
追肥
生育に応じてマルチの谷部に肥料を追加していきます。
肥料を入れた散布機を背負い一列置きに人力で撒きます。
防除
防除(農薬散布)は農場主の仕事になります。アルバイトの皆さんが仕事終わって温泉入ってる頃に農薬撒いてます。
時期によっては朝に皆さんに出荷任せてる間、農薬撒きにいてます。
5. 収穫出荷
白菜の出荷はほとんどが契約出荷ですので、雨など天候に関わらず行います。
毎日数千個の白菜を出荷しますがどの白菜もお客様からすれば一つの白菜です。
丁寧に間違いの無いよう作業することを心がけてください。
スピードは正確な作業から生まれるものです。慌てずにしっかりお願いします。
白菜の出荷はダンボール出荷(DB)、コンテナ出荷(CT)、鉄コンテナ出荷があり、
それぞれ出荷先ごとに規格も違いますし、出荷の手順も違います。
出荷準備
出荷前日に出荷に必要なコンテナや鉄コンテナをトラックに積み込みます。
DB出荷の場合はダンボールを箱作機で作ってトラックに載せます。
畑に出荷に使うレールやレールの台、秤などを運び入れておきます。
出荷に携わる人はすべて包丁を携行します。
空いた時間などを利用して出荷前には必ず包丁を研ぐようにしてください。
収穫
収穫作業は主に「切り」「詰め」「積み」の3行程に分かれます。
人それぞれ切るのが上手い器用な人、積み込み得意な体力がある人と得手不得手がありますが、
同じ人がずっと同じ作業を担当していると体を故障しがちなので、
どの作業もなるべく皆さん出来るようにしていきます。
ただ、それでも積み込みは筋力が必要になるので男性にお願いすることが多くなります。
白菜切り
マルチに座って3~4列づつ包丁で白菜を株元から切って並べていきます。
出荷規格ごとに白菜につける葉っぱの数が決まっており、切り口もきれいにしなければなりません。
虫や病気があれば切る人が見極めていきます。
器用さとスピードが求められます。
箱詰め
切り手が並べた白菜をDBやCTに詰めます。
重さごとに様々な規格があり、なれるまでは秤で計量して詰めます。
DBもCTもそれぞれ白菜の詰め方が違うので最初は規格を覚えるのが大変かもしれません。
詰め手が箱に詰めると中をチェックできないので、間違いのない丁寧で正確な仕事をお願いします。
トラック積み込み
DBで12~16kg、CTだと一箱17~19kgくらいの重さになります。
これを畑横につけたトラックまで運んで積み込みます。
トラックには頭の上くらいの高さまでコンテナを持ち上げて積み込む必要もあるのでそれなりの筋力が必要です。
ただし、運ぶ人には筋力だけでなくなるべく体力を使わずに効率よく荷物を運ぶ頭脳も必要です。
運ぶ距離がなるべく短くなるように導線を考えトラックを移動したり、運び出しを容易にするレールを適切に設置したり、
また詰め手に箱を供給したり気を配る必要もあります。
また、人が重量物を運ぶ必要のない鉄コン出荷を増やすことで作業負担を減らしています。
出荷
トラックが満載になると集荷場へ出荷に行きます。
トラックで一人で出荷に行って荷物を下ろして戻ってこれれば時給を上げさせていただいています。
急かしたりしません。安全運転で自分の体も休ませながら行ってきてください(休憩時間は別にも取っていだきます)
6.後片付け
白菜の収穫が終わると後は片付けです。夏まではまた畑にマルチを貼って苗を植えるので片付けも忙しいです。
マルチ剥ぎ・干し・回収
収穫の終わった畑からマルチを剥ぎます。
服が汚れるのでヤッケを着て作業してください。
畑の殆どは傾斜地にあるので、傾斜を利用すると楽にマルチが剥げます。
この作業は大変なのでスマホで音楽でも聴きながらやってください。
剥いだマルチは二人組で干して乾いたら回収します。
埃っぽく鼻の中が真っ黒になるのでので簡単なマスク推奨です。
残渣耕運
マルチを片したら、収穫残渣を耕します。
畑をまた使う場合はこの章の1番はじめに戻り年内にもう一度白菜を栽培します。
秋は来年に向けて堆肥を撒いて耕したりします。