珪酸資材+ミネラル 成分単価比較
昨年、総合ミネラル肥料とミネラル単肥比較 という記事を書きましたが、
こんどミネラル肥料 マインマグ ー東京農業大学共同開発ーの勉強会あるので予習で成分単価計算比較をしてみました。
マインマグは下記のコンセプトです。
「マインマグシリーズ」は、弊社が所有する蛇紋岩を原料として、東京農業大学と共同開発を行ったミネラル肥料です。
主成分はケイ酸とマグネシウムで、水稲をはじめとする農作物の茎や葉を丈夫にして健全な生育を促し、光合成の増進、養分吸収の促進によって、美味しさと品質向上、収量アップに役立つ肥料です。
栽培期間の長短や作物の栄養特性に対応、有機栽培向けや融雪機能を付加した品種など、用途別に5種類のシリーズをご用意しています。
成分的な目玉は水溶性の珪酸です。苦土もそれなりに入ってますがク溶性ですので中性からアルカリ性土壌では効果が出ません。
他、ホウ素、マンガン、鉄、銅も入ってるのですが少なく、これだけだと効果的でないかもしれません。
粒状で撒きやすいです。
北海道の会社のもののため、コンテナで数百袋単位で買わないと価格的に厳しいかもです。
私の購入価格はグループで買っているので部外秘です。ここでは仮に長野までの送料込みで2500円くらいで書いておきます。
白菜のゴマ症対策に昨年導入しましたが、私は白菜栽培1年目で比較できないのでわかりません。
ゴマ症は出荷に差し支えないほどですが出ました。それがマインマグを投入したことで、少なめに出たのかどうかわかりません。
また畑に有機時代の隠れ窒素が残っていたようなので窒素過多による発症も考慮しなくてはなりませんので、なんとも言えません。
ただ、マインマグのHPの使用実績にも書いてあるように
マインマグ施用区は、ゴマ症(黒い点)が出なくなった。
微量要素(ホウ素)と鉄の働きによると考えられる。
とあります。ゴマ症は窒素過多での窒素転流不足によるものだと思うのでマンガンや鉄とかは作用してるかもしれませんが、
マインマグのメイン要素の珪酸は関係なさそうです。珪酸はどちらかと言うと植物の表皮組織をガッチリするもので、病虫害とかを防ぐ効果があるものです。
稲の葉っぱが人の肌を切るくらい硬いのは珪酸がたっぷりだからです。イメージとしてはガラスですね。珪素はガラスの原料です。
ゴマ症対策で単純にマンガンや鉄、ホウ素だけを期待するならこれらの単肥ミネラルのほうが遥かに安価に十分な量を施せます。
ただ私の所属するグループの長年白菜をやってきた農家さんのマインマグの対ゴマ症評価は高いです。これはもちろん他の気候などの要素も考慮しなくてはなりませんが、下手な理屈よりも説得力あります。
ここらへん、マインマグの要素とゴマ症の関係を勉強会では突っ込んで聴いてみたいと思います。
それは置いておいて、取り敢えず6パターンで成分単価などを評価してみました。
マインマグの標準量を反60kgと設定して、単肥ミネラルや昨年比較した総合ミネラル資材BMマルチサポート1号などの組み合わせを比較します。
主に比較するのは珪酸・鉄・マンガン・ホウ素です。肥料の組み合わせにより苦土や石灰も記されていますが、
ここらへんは畑により必要量が大きく変わるので参考程度のオマケとして考えます。
ホウ素・マンガン・鉄はあさひや農場の標準施肥量が書いてあります。大抵の畑でこの量を標準として投入しています。
ミネラルとしてこれくらいはほしいという量です。
細かい数字はグーグルドキュメントミネラル価格比較を御覧ください。
6パターン どれもありかなと思います。結局のところ技術は常に経営形態と結びつくからです。正解はありません。
1.マインマグ単体で60kg
水溶性珪酸メインに捉えるかんじです。他のミネラルは絶対量として期待できません。しかし、経験的にこれで十分という経営もあるかなと思います。
私達の白菜は夏は漬物加工向けメインです。こういった場所では何より「しっかりとした」白菜が好まれるので。珪酸の効果は高いと思います。
苦土がク溶性なのでアルカリに傾いてると効果ないです。価格は反6800円。
2.マインマグ60kg分を単肥ミネラルで補った場合
単肥なので反5400円と安いです。ただし、珪酸が水溶性でないので珪酸の効果はマインマグに及ばないかもしれません。
その代わりホウ素などはマインマグに合わせると少なすぎて撒けないので反1kgと設定するため十分な量が施せます。
3.単純にマルチサポートを60kg入れた場合
やはり総合ミネラル資材だとマインマグ同様絶対量が少ないです。
マインマグのHPに書いてあるようにゴマ症対策の要がホウ素と鉄だとしたら、こちらのほうが多く含まれています。
価格も反5200円とマインマグより安いです。
化成メインで今まで通りで特に問題ないかな?という人の施肥です。
4.マインマグ+単肥ミネラルでミネラル十分量
植物に必要とされるミネラルを上限では何にしても十分量入れた場合です。
マインマグの水溶性珪酸に単肥での十分なミネラル補充をしました。
価格は一番高く反10800円。
5.マインマグ+単肥ミネラル マルチサポートの代用
いままでマルチサポートで十分だった農家が水溶性珪酸と他はマルチサポートとおなじ成分をマインマグ+単肥ミネラルで補う場合です。
慣行農家の場合、けっこう農協の肥料も考えられていて化成肥料にミネラルが入ってたり、
総合微量要素剤も指導されてるので下手な有機農家よりも畑にミネラルがあったりします。
また、有機農業ほどしっかり作り込まなくても農薬でミネラル不足分の耐虫耐病性を補えます。
そこで「そこまでミネラル追求しなくても平気」、でも水溶性ケイ素で漬物向きの白菜を作る。
そういうのも有りです。反7300円
6.十分なミネラルを単肥ミネラルのみで
マインマグの「吸収しやすい珪酸」を捨てて、マインマグを利用せずに単肥で理想のミネラル量を出した場合。
珪酸はケイカル使用。
ミネラル上限値には達しないが中間な施肥なので、プラスマイナス2割位で価格や成分量を変えられる。
反6200円だが成分単価で見れば最安値で、単肥なので設計も自在。
施肥の手間はミネラル不足を割り切った上でマルチサポートやマインマグ単体が1回で楽。春の風にも強い。
単肥ミネラルを混ぜる場合は酸性とアルカリ性で分けて撒く必要がある。
だいたい石灰資材を撒く時にアルカリミネラルを堆肥などを撒く時に酸性ミネラルを混ぜて散布する。
まずはマインマグの効果を勉強会でしっかり突っ込んで見る。
水溶性珪酸以外は単純な微量要素なので単肥で十分です。
そこをどう判断するか。
あとは従来のマルチサポートで足りてるもの以上をどこまでミネラルに求めるかですね。
もちろん有機栽培ならガッチリミネラルでガードして高品質が求められるので6番一択です。
と言うか6番以上のミネラル施肥が求められるでしょう。
慣行の場合、そこまでミネラルに求めなくても良いと思います。
「生産者にとっての最高は消費者にとっての過剰」ということもよくある話です。割り切りは常に必要です。
むしろ自由に資材を選択できる分、出荷先にあわせた設計を行うのが良いのかなと。