秋の土壌分析
畑の状態を見るにはいろいろな方法があります。畑の作物の状態を観察するのが第一です。作物の出来具合、葉の色や実の形、葉の巻き具合、葉のつく角度、花の向き、ひとつの作物のたくさんのチェックポイントを見ることで畑の状態を見極めるのです。これはお医者さんの触診に該当します。脈や眼の充血具合、聴診による心音や呼吸音をみることで、患者にどんな異常があるのかを観察するのです。畑に関するほとんどの情報はこの観察で得ることが出来ます。
次に、栽培履歴のチェックです。過去にどんな肥料を入れたか、これまでどんな栽培をしてきたか、天気や水遣りに問題はなかったかを見ます。これはお医者さんの問診やカルテのチェックに当たります。普段どんな食事を取っているのか、睡眠は取れているか?海外旅行に行ったか、過去に同じような病気になってないか、過去のデータから現在の状態を推測します。
そしてお医者さんでは血液検査やレントゲン、心電図など眼では見えないものを分析することでさらに多くのことがわかります。これに当たるのが土壌分析です。畑の土からさまざまな試薬でその土が含む養分を直接読み取ります。この土壌分析、試験管に入った抽出液を窒素やリンなど10養分ごとの試薬に反応させその色の変化を読み取るため以前は晴天の昼間じゃないと正確な読み取りが出来ませんでした。晴天の日の昼間は農作業したいのでなかなか時間が取れませんでした。しかし、いまはセンサーで正確に読み取ってパソコンに記録してる機械があり、これだと夜に自宅でも出来るので便利になりました。
畑での観察を基本として、栽培履歴のチェック、土壌分析はそれぞれがそれぞれのデータを補ってより正確に畑の情報をつかむことが出来ます。
土壌分析は簡単になったとはいえ、それでも時間がかかるので例年は春の畑作り前に行うだけでしたが、今年は秋も行っています。今年の異常気象でどれだけ畑に肥料が残っているのか、いまいち目視とデータだけでは分からなかったからです。畑がどうなってるのか分からないままむやみに肥料を撒けば農作物の健全な生育が望めないだけでなく、過剰な肥料が流亡すれば有機肥料といえど環境に負荷を掛けますし、あさひや農場のお財布にも負荷を掛けてしまうのです。
今回は秋から栽培が開始される小麦と玉ねぎ、ニンニクと冬の葉物を土壌分析に基づいて肥料設計をしてみました。あとは基本的に天気に任せることになります。