2017年白菜反省

昨日、白菜出荷終わりました。
佐久穂の殆どの白菜農家は11月中旬に出荷終わりですが、新規就農者は標高の低い畑が多いのでみんな11月下旬まで、
私と先輩農家だけが12月も10日すぎまで出荷でした。
本年は全国的に豊作傾向の野菜価格低迷で、佐久の地域も平均単価で例年の90%位まで下がりました。
豊作傾向ですから本来作り安いはずですが、
この佐久穂に関しては30年近くこの地で白菜をやってる方からは「一番難しい年」だったようです。
そんな年を振り返って対策を練りたいと思います。

アンコに水を

まず、春に干ばつ。
春に植えた苗が干ばつで肥料を吸えない所に、6月に降り始め一気に窒素を吸ってカルシュウムの吸収が追いつかないと
「あんこ」というカルシュウム欠乏が出ます。葉先が腐るのです。

思いっきりカルシュウム欠乏。厄介なのは中途半端な欠乏で結球内部にちょこっと腐れが生じるやつ。

写真は早くから葉先が腐って生長が止まって明らかに収穫できない白菜ですが、
本当にひどいのは窒素を吸って立派に育ったけど結球内部の葉先が腐るので一見して外部から見分けがつかず、
出荷すればクレームですので出荷できない状況になります。
あさひや農場の借りてるような耕土の浅い田んぼではよく多発します。
6月はアンコに泣かされけっこう廃棄しました。
この春のアンコ対策は潅水しかありません。
カルシュウムは十分いれています。初期からしっかり窒素もカルシュウムも「吸収できる」水分補給が要です。
この場合、耕土の浅い田んぼでの栽培が逆に田んぼ故に水には困らないというメリットになります。来年は潅水体制しっかりで望みます。

農薬は改めて勉強を

7月に入り、標高の高い畑に行くとアンコから解消されました。
が、今度はそれもつかぬ間、薬害が出始めます。

農薬の組み合わせでかさぶた状になった白菜葉柄

農薬の濃度が濃いとかではなく、新規の農薬にある組み合わせによる害です。僅かですが白菜の葉茎にかさぶた状の症状が多発しました。
おそらく、メジャーという農薬と乳剤の組み合わせが良くなかったようです。
後から農協の相談員さんから「この農薬は乳剤と合わないらしい」ということを聞くまで対策も立てられず9月まで悩まされました。
だいたい結球葉の外側数枚がやられるだけだったので、外葉を剥いて剥き玉で加工用の契約出荷に出すことができましたが、
契約数も僅かなのでここでもかなりの数の白菜を廃棄です。
この農薬焼けさえなければ立派な白菜だったのでとても惜しいことをしました。

農薬のミスはこれ以外にも「昨年まで出荷前日まで撒けた農薬が今年から14日前まで使用可になった」ことに気づかなかったことによる農薬散布ミスです。
ランネートという農薬ですが、私の普段の防除パターンでは元々14日以前に撒くのですが、1度ラベルを確認した所「前日まで」とあったので10日くらい前に使用しました。
ラベルは新しい規制発行前の物だったのですが、私は春の説明会で規制が変更されたのも忘れてラベルを信用して撒いたのが間違いです。
こういった間違えも、出荷3日前に農協に提出した防除日誌をチェックする指導員からの指摘でしっかり指摘されますので、
9月に入ってせっかく順調に流れ始めた出荷も1週間おやすみという状態にも陥りました。

幸い1年を通して作りにくい年だったにも関わらずあさひや農場では虫食いや病害は比較的少なめだったようです。
しかし、自分のチョンボで10a単位で白菜を駄目にしたのは情けない限りです。
改めてこの冬に、一つ一つの農薬を掘り下げてマスターしていきたいと思います。

適期定植・適量施肥

最後の反省は11月以降の白菜についてです。
まず8月の長雨で定植が送れました。最終定植9月3日の予定が5日となってしまいました。
この2日の遅れは大きいです。
また、11月収獲分は春にアンコを出して結構廃棄した農地の2毛作目です。
結構想定以上に肥料が残っていたようで、秋作窒素18kgでも多かったみたいです。
窒素が多いとどうなるかというと、結球が遅れます。
白菜は多い窒素を十分使って外葉を大きくしてでっかく結球しようとするので、外葉ばかり伸びて結球が遅れるのです。
その外葉が伸び切った所に10月の台風です。外葉がボキボキ折れる。
それでも温度さえあれば十分な時間を使って結球できますが、その矢先に11月頭の大霜です。
結果どうなるかというと、
10月くらいに「これ全部Lサイズで出る。ウハウハだぜ!」と言ってたのがみんなMサイズです。
1株あたりの単価は半分以下になります。
葉っぱも薄いので霜にも弱く、葉の処理に時間かかる。葉を取るので重量軽くなる。
しかも背丈だけは高いので箱に入れにくい。ギュウギュウです。力がいるのでパートさんが詰められない。
白菜転換1年目で、平箱メインで出荷してたのが、ギュウギュウのMサイズ箱つめとか時間ばかりかかる。
そして11月下旬は例年より寒く午前中切れないので出荷量ガタ落ち。

例年なら11月いっぱいで出荷終わる所、先輩農家と二人きり12月11日まで引っ張りました。
これ以降は更に寒さも増すし、農協にも迷惑かかるので出荷打ち止めとなりました。

あさひや農場では生育しきれなかった白菜が5畝ほど残ってしまいました(保温庫に溜め込んで直売所に出していきます)

小さいし霜だらけ(調味料並みに味があるけどね!)なので市場出荷できない白菜。

対策としては一つに定植時期をまもる。
定植時期を守るためには畑作りをしっかり終わらせておく。
ということはやはり7月くらいまでに畑作りの大体のところを終わらせておく。
初年度でまごついたところが2年目で順調に回れば解消されるのでしょうか?冬の課題です。
また取り敢えず結球しちゃえば白菜は11月は持ちますので最終定植は控えめに植えて、
その分もうちょっと前にどっと植えておくことで結球遅れは回避したいです。
2毛作目の施肥も後がない秋作では要検討したいです。

 

幸い自分のミス

「佐久穂で一番難しかった年」ということで言い訳もできそうですが、冷静に反省すると自分でのミスが多かった1年でした。
兎にも角にも「失敗は全部やった!」年なのかもしれません。
価格が安い年に、出荷量も少ないという最悪の結果です。
加工用の契約があったのでなんとか救われた感じです。
「伸びしろがある」「来年、これ全部クリアできたらお金持ち!」そんな希望を持って来年に挑みたいですね。
どっちにしろ、そんな深い失敗ではありません。2回やったら馬鹿レベルの単純な失敗です。
有機での失敗から比べれば浅い浅い!(1回の損害額は慣行のほうがでかいけど)

そうは言っても一つだけ大事なのは、先輩農家の言う。
「1年の結果で右往左往しては駄目。コンスタントにちゃん出荷すれば勝ち。」
そこら辺は、「今年」のせいではなく、明確に自分の責任で失敗してるので、まだまだ状況に流されるレベルではありません。

 

 

 


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