事故例;プラソイラー作業中のトラクター横転事故

2023年末の作業中に横転事故を起こしたので記録公開する。
特にスタッフの方には安全作業の礎とされたい。

概要

クボタKL40ZCでプラソイラー作業中に横転した。
フロントにローダーを装着しており、プラソイラー中に拾った石を100kg程積載。
畑末端での転回時に転回方向に横転した。
機体はその後大型ユニックにて復旧、乗員は横転時の踏ん張りで腕に5日ほどの筋肉痛、機体は損傷なし、クボタの点検でも異常なし。

状況

  • 時刻は夕方暗くなりつつある時間。
  • プラソイラー作業で引っ掛けた岩をフロントのローダーに拾い100kg程積載していた。
  • 前方視界確保のため直進時はローダーを上げ、転回時は下げていたが、下げ忘れることがあった。
  • 下げ忘れた時に2度ほど転回時に機体が傾きヒヤッとしていた。
  • 勾配方向へのプラソイラー作業のため事故地点に至る登りは負荷多く吹かし気味だった。
  • 事故地点での転回時にローダーを上げたままだった。
  • 事故地点で20センチほどの畦に軽く乗り上げた。

以上の状況で事故地点に到達し、左展開した時に右前輪が軽く畦を踏み、機体が急激に傾く。
クラッチとブレーキを踏むも機体はゆっくりと左に傾き始める。
乗員は転倒に備えハンドルを強く握り踏ん張る。
機体はそのままぱたんと左に倒れた.

事故原因

最大の事故原因は100%

ヒヤリハットを放置した

これに尽きる。

「2度ほど転回時に機体が傾きヒヤッとしていた。」にも関わらず、作業の見直しもせず作業を続行したことにある。

それを踏まえて上でテクニカルな原因。

1.プラソイラ作業時は重心が大きく変化する

プラソイラーはそもそも軽く、爪を土中に入れた時だけ抵抗で重心が下る。この時の重心差を考慮すべき。
もともと重いロータリーと同じ感覚ではいけない。

2.ローダーを下げずに転回した

ロータリー作業時ではロータリーの重さで重心が下がってるためローダーを上げたままの転回も大丈夫である。
畑の横に住宅や大きな畦のあるあさひや農場では常時行ってきた動作である。
しかし、転回でプラソイラーを上昇している時は機体重心は高く、
そこに100kgの積載物を積んだローダーが上がっていては更に機体重心は上がり致命的に横転の可能性は上がる。

対策

ヒヤリハットは必ず駆逐する!

朝起きて顔にナメクジが張り付いてたら払い除けるが、
それと同じくらいの感覚で確実にヒヤリハットは除去する。
特にあさひや農場スタッフはヒヤリハット見つけたら作業を中断し、対策を講じることが出来なければ必ず私に連絡ください。

ローダー積載時は転回前に一時停止する

  • ローダー積載時は転回前に一時停止する。
  • ローダー装着時に転回する時はローダーを必ず下げる。(ただし、圃場の端で畔や柵など障害物があり転回に十分な距離が取れず、ロータリー装着時で重心が低く転回時路面の安全を確認できる時は除く)

その他注意点

  • 作業前に圃場を目視しし、事前に気をつけるべき点(今回では畦の有無、周辺の電柱・家屋など障害物、圃場路面状況など)を確認する。
  • トラクター作業時の重心の変化を常に意識する。
  • ローダーの積載物の重量を常に確認する。
  • シートベルトは必ず装着する。

事故後処理など

横転したトラクターを起こすのに地元の自動車やさんやクボタに依頼したが、このクラスのトラクターになると彼らのユニック等では起こせないと断られた。
そこで100馬力トラクターの修理を依頼している佐久市の山浦マシナリーサービスに依頼したところ大型ユニックで来ていただきすぐに引き起こせた。
起こす際はブームの腕にワイヤーを掛け起こした。

トラクター自立後に周囲を点検、幸運にも耕した後の柔らかい圃場とローダーのフレーム、転倒時停止していたことが重なり機体の損傷は皆無であった。

ただし1時間ほど倒れていたのでエンジンオイルがガスケットから漏れてる恐れもあるので、エンジンは掛けずその日はトラクターをその場に静置。
翌朝クボタの整備士さんに来ていただき、オイル漏れなどの確認後にエンジンを掛ける。特に異常なし。


以上になります。
事故はいつでも私達の隣にいますので無視はせず、常に意識しましょう。
下記サイトに事故事例及び対策について多数掲載されていますのでぜひご確認ください。
参考サイト
農作業安全情報センター


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